ライクバーンの伝説――序章

 果てなき青さをたたえた空、とばり帳を降ろす暗い空。日が高らかに昇り行き、夜陰の中で幻想的な月が浮く。誰の仕業か分からない――それは神の気まぐれか、それとも精霊の悪戯か、はたまた悪魔の横やりなのか。
 見上げる誰もが、空の表裏にそんな事象を並べる天のもと、人間と魔物が息づく世界、ラクナマイト大陸はあった。
 さまざまな伝説が発祥し、数多くの伝承が伝わる広大な大陸。いたる所には巨大な遺跡や古代の建造物が存在し、人の世が始まってから、長き時が過ぎ去った今も、なお人跡未踏の地が多いという。
 人々は絶えず、そこには誰も見たことも聞いたことも無い、すばらしい秘宝が眠っているとか、誰も戦った事がない、邪悪かつ強大狂暴な怪物がいるだのと、日夜うわさし話し合い、心を弾ませ…恐怖する。
 そしてその国は、そんな時代のラクナマイトの、はずれにあった。
 古に大陸を支配していた混沌の龍、カオスドラゴンを倒し封印した、一人の若者が建国したとされる国。その者の血を受け継ぐものが、代々王の責任と地位を世襲し統治する、由緒正しき王国。名を、ライナークといった。
 ライナークはどちらかというと小国で、国勢は強くなく、また国土もそう広くはなかった。しかし、建国当時より特筆すべき争いは、人間同士にしろ魔物相手にしろ、国内外ともに起こらず、まさに平和そのものであった。
 よってか、ライナークは歴史ある王国だったが、長い間、大陸中の国々からとりわけ刮目される国でもなかった。
 だが、ある時にそのライナークから、広く大陸中に名が知れ渡る、偉大な勇者が現われたのだ。
 話しの始まりは、歴代の王の中でも特に慈悲深く寛大で、文武ともに優れた人徳ある王、リチャード三世の代。敬愛する彼のもとで、人々が幸せに暮らしていた頃だった。
 ラクナマイト大陸に突如、魔界の黒魔龍、魔王ゲザガインが現われた。ゲザガインは強大な自らの魔力と、率いる強力な魔物の軍団で、瞬く間に大陸の国々を制圧していった。
 ――そしていよいよ、ライナークにも侵攻を開始する。
 リチャード率いる王国軍は必死に戦い、攻防を繰り広げた。しかしその奮闘虚しく、徐々に魔龍軍に押され始め、終いには王城に迫られるまでに敗退していた。
 その時点で、人々にはもはや、慄く力すら残っていなかった。
 王国の地を闊歩する、魔物達。踏みにじられる赤黒い道の先で、誰もが希望の色を失い、力無く泣き崩れ、全てを捨て去ろうとしたときだった。勇敢なる一人の若者が、ゲザガイン打倒を志し、立ち上がった。
 ――その者、瞳に意志の光を湛え、小さき身体に最後の希望を託される。
 王国一の騎士と謳われた、ライト・ライクバーンの息子。生来、魔物と心を通わせる不思議な能力を持ち、優しさと強さを合わせ持った少年、リイム・ライクバーンであった。
 リイムは、亡き父親の親友にして良き理解者、ミノタウロスのモーモー・ダイナマイツと集った仲間達を率いて、魔龍軍に果敢に挑んだ。その前にはさまざまな強敵と難関が立ち塞がったが、彼等の強さはそれを乗り越え、ついには魔界にいるゲザガインをも討ち破ったのである。
 ――勇者リイムの冒険は、これが序章。序章に過ぎないのだ。
 王国には、再び平和が戻ったと思われた。…しかし、つかの間の平和だった。
 復活したゲザガインの、再度の襲撃。隣国、マテドラルの秘宝伝説に端を発した、虹色の魔石を巡る争い。
 勇者リイムの語り継がれた伝説は、それだけでまだまだ終わりを迎えることはなかった。
 
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<つぶやき…>


勇者リイムの語り継がれた伝説は、それだけでまだまだ終わりを迎えることはなかった。
かなーりもったいぶってる感じ。しかも、いかにもって感じ。最悪ですか?…いや、一応は説明は必要かと…。まあ、リトマス知らない人が読むはずもないような気もしなくも無く。



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